2014/01/16

見えてきたもの

まだ、解りきった、と言えるレベルには達していませんが...



BMXに再び乗り始めて、1ヶ月半が経ちました。普段通っているボウルは、Rが大体背丈より少し高いので180cm程度のものです。周囲4方向を、半径180cmのクウォーターパイプで囲まれているものと考えてください。今では、そのRのてっぺんのコーピングを前後輪でしっかりと踏み切りエアーに入れるようになりました。最初に入った時なんか、バイクをボウル外へ投げ捨て、ファイト一発よろしく、Rによっこらしょとしがみついて上って外へと出ていたくらいですので。

まず山ばかり走っているMTBerが新鮮に思えるもの、それは「音」でしょう。今の時期だと落ち葉がサクサクと音を立てますが、そこは室内、流行のポップスが流れています。自然は観葉植物くらい。高圧タイヤが板やコンクリ路面を転がる甲高い走行音、ペグを付けてグラインドをするのならガリガリと言った、MTBerなら心配すらしてしまうような音が常に発せられています。ペダルでグラインドをするトリックもありますが、これはMTBerからしてみれば「クラッシュ」なわけです。まず、この部分だけで十分新鮮でしょう。

次に思うのが、「で、これ僕もできるの?」です。最初のドロップイン、これはかなりドキドキものでしょうね。なんてったって、ほぼ垂直に落下するわけですから。幸い、カナダで嫌という程ロックフェースを走ってきた僕は抵抗は無かったのですが、そのような疑似体験でも無い限り、これも「クラッシュ寸前」の光景になり得るからです。無事中に入ると、周りを囲まれているので自分の意思無しに外へは出られません。ちょっと走れるMTBerなら、周囲のRをバンクに見立てて加速して遊ぶことができます。そしてこの時思うのです。動画で見るバックフリップやバースピンなど、遥か彼方の銀河系のみで繰り広げられているものだと。いとも簡単そうにやってのけるBMXプロ(のみならず、大勢のアマチュア)には到底及ばないと。少しくらいは飛べるだろうなどと甘い気持ちを持ってしまいがちですが、それも当然、彼らも最初は同じ。初めてBMXをやるのであれば、どんなに他の自転車ジャンルで長けていてもそこはそれほど期待しない方が良いでしょう。同じ自転車で共通項はあるものの、普段していないものは、いきなりやってもできっこ無いからです。MTBで山を走ってきた時間をBMXに費やしてきたと思えば、納得できるはずです。なので、プライドを脱ぎ捨て、プロテクターを着るのが正解。トリックに挑戦するなら、ひたすら練習あるのみで、自転車に乗れれば誰でもいきなり楽しめるジャンルではないのかもしれません。

ちょっとしたリビングほどの広さのボウルをぐるぐるしているだけで汗ばみ、目が回ってきます。汗だくになったところで走行距離など惨めなものでしょう。どんなに健脚でも、普段使わない筋肉からは悲鳴が上がります。同じ自転車なのに全く別のスポーツとすら感じられ、これも新鮮なことでしょう。

最近のBMXもワイドバーが定番になり、MTBerもそれほど違和感無く跨がれると思います。次に気づくのが「異常なほどの堅さ」です。当然、フカフカのサスペンションは無し、2.2~2.4のハイボリュームなタイヤも空気圧は6気圧とカンカン。少しフロントリフトをするだけで手首にビリっと衝撃が走ります。要は、身体を使え、ということですね。自転車に何とかしてもらうのではなく、積極的にライダーがどうにかして衝撃を吸収する。MTBの上手いライダーはバイクに仕事をさせつつ身体も最大限に動かします。この2つが無いと上手くは走れないのです。

衝撃吸収装置付き、ポヨンポヨンでも決してパンクしないタイヤ、緩やかでどこに落ちても大丈夫なランディング。MTBのことです。ピンポイントにバイクを着地させる正確なバイクハンドリング、あるいは衝撃を吸収する覚悟がBMXには求められます。そしてこのBMX(とMTBのダートジャンプ)特有のランディングスポットの小ささには今でも手こずっています。ボウルのランディングはバイク一台分の長さでかつ全部曲面。少しでもフラット気味に落ちようものなら、下手をすると手首が折れ、ハンドルに顔をぶつけて歯が折れます。後輪をコーピングに引っ掛けてしまうと、うまく吸収できれば良いのですが、失敗すると頭から着地で脳震盪、あるいは鎖骨ぽっきりコースです。これはMTBでも同じですが、転倒して怪我をするリスクを考えるのは非常にナンセンス。プロアマ問わず、転倒し、怪我をするからです。もし怖いのなら、家の中でじっとしているのが吉です。それでもタンスの角に足をぶつけて指を折るかもしれません。なので、怪我は起きた時に対処をすれば良いと僕は思いますし、そのリスクを少しでも減らすためにプロテクターがあるわけです。リスクを冒す冒さないも、その人のレベルや精神状態に依るし、何より考え出すとネガティブな気持ちしか生まれません。事実、この文章を書いている今、でさえです。不安に思えば挑戦を控える、無理をしない、ということだけが重要です。どんな怪我をしてもこのトリックだけは絶対に成功させる、という強い意志が無い以外、身体に鞭を打って追い込むことが最善の上達方法ではありません。ロードトレーニングやローラー台で汗を流して初めて充実した練習時間だった、と思えるものとは訳もリスクも違うのです。むしろ、少しでも疲労を感じたら無理しない方が良いでしょうね。もちろん、リスクを冒さない限り多少の上達はありえないのですが、だからこそMTBやBMXがアクションスポーツと呼ばれる所以ではないでしょうか。

ひとえにBMXと言っても、様々なスタイルがあります。ひたすらトリックを披露するライダー、トリックは一切できなくてもとにかくでかく飛ぶライダー。そのどちらもプロになり得るのかBMXです。僕は、あれこれどんなトリックを繰り出せるより、走りの流れに重きを置き、スタイリッシュに走る、そしてバイクコントロールを磨くという路線にしています。これもある意味、トリックの練習をしないことでリスク回避にはなっていますが皆無という訳ではありません。どの路線かは、個人の考え、つまりスタイルと集約できます。他人のスタイルに干渉しないのも良い文化です。

僕の周りでもBMXを始めた人が増えてきています。ちょっとしたブームかなとすら思うほどです。山では思い通りにMTBを操れる彼らも、BMXではまだ歩き始め。でも何かの役に立てるというより、BMXはBMXでまず楽しむ、という気持ちが大切ですね。その先に、MTBとの相互作用やスキルアップが待ち構えていると僕は思うからです。この学びの過程も、新鮮です。

と、解ったような口を叩いてしまい、申し訳なく思うのでした。

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